「エモい」なんて言葉では足りない。
自分の過去にも思いを巡らせて、ちょっぴり切なくもなり、温かくもなる。青春ロマンスドラマ。「二十五、二十一」。前編に引き続き、考察を長々と述べる<後編>です。
考察
前編に続き、語ります!
『二十五、二十一』は、色彩、伏線、そしてセリフ。とにかく演出が素晴らしすぎる!
すべてが計算されているんじゃないかと思うほど!
『二十五、二十一』の魅力を私なりに考察します!
⚫︎ 赤と緑 ── フェンシングだけじゃない色彩演出
このドラマ、色彩演出が綺麗!!
フェンシングのランプを象徴する「赤」と「緑」の2色が、作品全体に散りばめられています。
- ヒドの緑のリュック
- 赤いフェンシングバッグ
- 赤いスポーツカー
- 赤と緑の公衆電話
- 赤いスーツケース
- 赤い灯台
小物だけではなく、背景や風景にも赤と緑が印象的に使われています。
ヒドの家の入り口でイジンと出会った時。
ヒドがイジンの父親を探し回ったあと、二人がベンチで話すシーン。
ラストのバス停ではイジンの緑のコートと、赤いスーツケース。
全体的にもキタノブルー的な感じで、二十五、二十一グリーンが感じられます。
そして、理性的なイジン(緑)と、感情に真っ直ぐなヒド(赤)も表してるのかも?なんて考えすぎ?
でも、そう思わせてしまうほど、この作品の色彩演出は見事!
⚫︎ トンネルは「青春」の象徴だった?
何度も登場するトンネル。
私は、このトンネルが「青春時代」を表しているように感じました。
子どもから大人へ向かう通り道。
トンネルの中に書かれた「売国奴」の落書きを二人で消す場面は、青春時代の傷を乗り越えていく姿にも見えます。
別れを告げた場所がトンネルを抜けた先だったこと。
41歳になったヒドが最後にもう一度トンネルへ戻ること。
そして最後!
41歳のヒドが手帳を落とすと学生時代のヒドが手帳を拾い、トンネルの中(青春時代)を5人で駆け抜けていく姿は、フィナーレそのもの!!
スタンディングオベーション!!
すべて「青春」を可視化する演出だったように思います。
おまけで、バス停で別れ方をやり直す場面も短いトンネル(橋)が近くにあって、トンネルをくぐる前にイジンが立ち止まってからバス停に来る演出がさ〜!!
トンネル(青春)を通って終わりにするように見えた。
考えすぎ?笑
⚫︎ 繰り返しと対比で泣かせるストーリー
この作品は、何気ないセリフや出来事を最後に回収してくるのが本当に上手い。
① 階段の例え
「実力は坂じゃなくて階段のように上がっていく」
ヒドの父親、イジン、ヒドがそれぞれ言った言葉ですが、応援されていたヒドが、娘を応援する側になって話すのが感慨深い。
② 「偉そうかな」のセリフ
「偉そうかな?」「そんなところがいい。」
高校時代の何気ないやり取りが、
別れ際には
「偉そうなことを。」「そんなところがいいんでしょ。」
へと変わる。
最初は長所だったものが、別れの瞬間にはすれ違いの象徴になる。
伏線回収が天才的。
最初の「偉そうかな?」なんて脳みその端っこに追いやられてたのに、ギュイーンとひっぱり出されましたよ!
そしてそんな別れのやりとりに涙。
③ 幸せと不幸
ヒドとイジンは「一緒に幸せになろう」
ユリムとジウンは「一緒に不幸になろう」
ヒドとイジンは別れ、ユリムとジウンは結婚。
どちらがいいのかが置いておいて、この対比も印象的!
④ ジウンのスケボー
最初は学校の廊下でユリムに初めてあった時。
次は空港でユリムと離れ離れになる時。
ちょ〜っと空港でのスケボーには無理があったけど、回収です。
⑤ バス停での最後の別れ
このシーン大好きすぎて(切なすぎるけど)回収が素晴らしすぎる!
サンダルを履いたら怒られる、靴紐を結んであげる。
“こういう愛”になる前の“愛”に焦点を当て、愛おしさを回収した演出は涙しか流せません。
⑥ 日記を貸本屋に預ける
イジンが日記を貸本屋に預けたのは、イジンの決断の表れ。
スーツケースの時にヒドに「預けるべきだった」っていわれたからね。
この演出の伏線回収もさすが!
⑦ 「世の中には思い通りになることがあまりないの」
41歳のヒドがトンネルを通ろうとした時に「補修中で迂回」。
「世の中には思い通りになることがあまりないの」と言った場所で、思い通りに通れず迂回。心情だけでなく現実の出来事でも重ねてみせる演出が見事。
青春を表すトンネルの前での迂回に、思い通りになることがあまりなかった青春を、懐かしみ、さらにそれでも娘に青春をしてほしいと願う表現がドラマチック。
⚫︎ 心に残る言葉たち
言葉選びも独特で魅力的。セリフも本当に美しい!
「実力は坂じゃなくて階段のように上がっていく」
「一度は手に入れた。それが大事」
「あなたを手にいれる」
「わたしを信じるあなたを信じる」
「虹はいらない」
「これ以上この愛は、私の力にならない」
「世の中には思い通りになることがあまりないの」
などなど素敵なセリフがたくさん。
どれも心に残りますが、
「永遠なんてない。全ては一瞬で終わって消えていくものよ。でもね、それも悪くないわ。」
このセリフこそ、このドラマの全て。
そしてこの作品には、さまざまな「別れ」が描かれていました。
- 一家離散
- 夜逃げ
- 退学
- 帰化
- 恋人との別れ
- 葬式
それでも新たな出会いがあるし、成長の糧となる。
この作品は恋愛ドラマというより、「青春と別れ」を描き、多くの人にエモさを感じさせた物語だったに違いない!(と思う)
コロナ禍に制作されたこの作品が、IMFや9.11といった時代の出来事を重ねながら伝えたかったのは、青春を謳歌できなかった世代に、「どんな時代でも、青春はあるし、謳歌しなさい」と言っているようにも思えます。
とにかく最高のドラマでした!



コメント